チェストを納品しました。
クライアントは長野県で長年林業関係のお仕事に携わってこられた方。
もちろん木のことには精通された方で、「自分の好きな数種類の樹種を使った抽斗を」とのご依頼でした。
そして外せないことが「特に大好きなミズメは絶対入れてほしい」とのこと。
一番のこだわりであるミズメを最下段の広めの前板に。
上から、クルミ、サクラ、カバ、カツラ、ミズメの順で製作しました。
引出しはシンプルに吊り桟で。
本体はカバ。
納品時、クライアントのお宅にて。
木を現した家、室内に溶け込む無垢材ならではの家具に仕上げることができたと思います。
納品直前の緊張、そして喜んでいただいたとき、これまでの苦労が報われる瞬間でもあります。
本当にありがとうございました。
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ところで今回使用した、ミズメという木。
この木は現在入手が難しくなっている国産広葉樹の中でも、最も入手困難な材のひとつになっています。
いくつかの材木屋さんを巡りましたがストックされているところは無く、端材板が一枚あったところでなんとか購入できました。
購入できたミズメの板。
緻密で硬く、虎斑の杢が本当に美しい木です。
そしてこの「ミズメ」、なぜか昔から木材業界や木工業界では「ミズメザクラ」いう名前で流通していることが多いです。
樹皮や材の特徴がサクラに似ているからとの説がありますが、個人的には全然似てるとは思いませんし、分類的にもサクラはバラ科、ミズメはカバノキ科です。
ミズメはそれ自体が独自の素晴らしい特徴を持った木です。
サクラにはサクラの特徴があるしミズメにはミズメの特徴がある。
ミズメはサクラではありません。
これは同じカバノキ科の材、「カバ」にもまったく同じことが言えます。
流通や製造側の都合でつけられた名称によって使う方が誤解したり混乱しないよう、作り手側もしっかりとした知識や考え方、説明の必要性を感じました。
そんな、ミズメを想った仕事でした。
ミズメ、また使いたい。
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